レンタルスペース事業者向けブログ【ASPの予約システムが合わない、と感じたら】

予約システムを導入したのに、以前より作業が増えた。

そんな経験はありませんか。

レンタルスペースは少人数で回す事業です。オーナーひとり、あるいは数人。予約対応も、清掃も、問い合わせも、集客も、全部同じ人がやっています。だから「手間が増える」というのは、単に面倒だという話ではなく、事業として続かないということです。

そして手間が増えると、多くの事業者さんはこう考えます。

「結局、スペースマーケットでいいか」

私たちも、まったく同じ道を通ってきました。10年かけて遠回りした末に、今のかたちに辿り着いています。その過程で何につまずき、何をどう解決したのかを、包み隠さずお話しします。

ポータルサイトは悪くない。ただし30%は重い

最初にはっきりさせておきたいのですが、私はスペースマーケットさんやインスタベースさんが悪いとはまったく思っていません。

ユーザビリティはよく考えられていますし、管理画面も使いやすい。集客力もあります。予約システムとしても、集客チャネルとしても、優秀です。実際に私たちも今なお活用させていただいています。

ただ、手数料が30%を超えるというのは、正直なところ重い。

私は以前、25年間ホテル業界におりました。名古屋ターミナルホテル、岐阜ルネッサンスホテル、名古屋マリオットアソシアホテル、名古屋東急ホテル。客室の販売営業も担当していました。

ホテル業界にも同じような送客モデルがあります。OTA(オンライン旅行予約サイト)です。当時、私たちが払っていた手数料は平均で15%程度でした。

同じ「送客してもらって手数料を払う」仕組みで、片方は15%、片方は30%超。もちろん市場の成熟度も規模も違うので単純比較はできませんが、それにしても倍というのは、事業者側の負担として大きすぎるように感じます。

見方を変えてみてください。

その30%は、直販であれば自分たちの手元に残ります。増収にしてもいい。あるいは、その分をお客様への価格に還元してもいい。ポータルサイトの掲載価格より安くご提供することだってできます。

つまり直販というのは、単に手数料を浮かせる話ではなく、価格やサービスを自分で決められる自由を取り戻すという話なのです。

直販に振って、変わった3つのこと

私たちはここ数年、直販の比率を大きく上げてきました。実際に起きた変化を3つ挙げます。

1. お客様が「浮気」しなくなった

これが一番大きかったかもしれません。

ポータルサイトは、複数の施設が並んで比較される場所です。お客様は、その中から選びます。ということは、一度ご利用いただいたお客様が次に予約するときも、また比較の土俵に戻ってしまう。同じ場所に、また他の施設と一緒に並ぶわけです。

ところが直販だと、お客様は次も自社サイトから予約してくださいます。私たちを目的に来てくださる。

手数料は取引のたびに発生し続けるのに、お客様との関係だけは積み上がらない。ポータル依存にはそういう構造があります。

なお、「ではポータル経由のお客様を自社サイトに誘導すればいいのでは」と思われるかもしれませんが、これは各社の規約で禁止されています。つまり、まずポータルで集めて後から直販に移す、という道は最初から塞がれています。直販は、別のルートとして自分で立ち上げるしかないのです。

2. お客様の質が変わった

価格重視のお客様ではなく、私たちの設備やサービスを評価してくださるお客様が増えました。

これも構造で説明がつきます。比較サイトで条件を並べれば、最後は安いほうが選ばれます。価格で来られたお客様は、価格で離れていきます。一方、わざわざ自社サイトまで来て予約される方は、その施設を目的にされている。判断の軸がそもそも違うのです。

3. クレームとトラブルが減った

これは前項の結果です。単純ですが、少人数で運営している事業者にとって、この意味は説明不要かと思います。

クレーム対応とトラブル処理に取られる時間と精神力は、売上には表れません。それが減ったことで、本来やるべきことに時間を使えるようになりました。

そして、リピーターが増えたことで売上が安定し、先が見える運営ができるようになりました。これが最大の収穫でした。

では、直販の予約システムはどうするのか

ここからが本題です。

直販を増やそうと思ったら、予約システムが必要になります。そして、ここで多くの事業者さんが詰まります。私たちも詰まりました。

理由は、レンタルスペースの予約は、想像以上に複雑だからです。

ホテルや民泊であれば、基本は日付単位です。1泊、2泊。ところがレンタルスペースは時間軸で演算しなければなりません。そこに曜日による料金差、時間帯による単価の違い、季節料金、オプション、最低利用時間が乗ってきます。複雑なマトリックスになります。

そして厄介なことに、

これらの要件が1つでも欠けると、その予約システムは「手間を増やすだけの機械」になってしまうのです。

9割合っていても駄目なのです。合わない1割を、結局は人が手作業で埋めることになる。だから、導入したのに作業が増える。冒頭の話に戻るわけです。

ASPやポータルサイトの側を責めることもできません。すべてのレンタルスペース事業者の要望に応えるのは、現実的に無理があります。ましてや私たちのように複数の施設を運営していると、要件のマトリックスはさらに増える。自分たちにフィットするシステムを見つけるのは、正直、至難の業でした。

私たちが10年かけて通った遠回り

抽象的な話が続いたので、実際に何が起きていたかをお話しします。

Googleカレンダーが双方向で同期しなかった

以前、あるASPの予約システムを3年ほど使っていました。設定は柔軟で、サポートも丁寧で、良いシステムでした。

ただ、Googleカレンダーとの連携が一方通行だったのです。

多くのレンタルスペースオーナーがそうであるように、私たちもGoogleカレンダーを台帳として使っています。予約システムからGoogleカレンダーへは自動で入る。しかし、スペースマーケットやインスタベースから入った予約は、予約システム側には取り込まれません。

そこで何をしていたか。手で転記していました。

ポータルサイトに予約が入るたびに、予約システム側に同じ内容を入力する。これをやらないと、予約システム上の空き枠が実態とずれます。ずれたカレンダーを見て直販のお客様が予約すれば、ダブルブッキングです。

つまりこの転記は、効率化のための作業ではなく、やらないと事故が起きる作業でした。

その結果、当日予約を受けられなかった

手入力に頼っている以上、リアルタイムでは追いつきません。だから私たちは、当日予約の受付を止めていました。ピアノ練習室は前日で受付を締め切っていたのです。

今思えば、これは大きな機会損失でした。

現在は当日予約を受け付けていますが、ピアノ練習室では直前のご予約がかなりの割合を占めています。「今から練習したい」というニーズは、確実に存在していたのです。

しかも恐ろしいのは、この損失がまったく見えないことです。受付を締め切っていれば、お客様は問い合わせすらしてきません。断った記録も残らない。誰も損をしているように見えないまま、何年も過ぎていきます。

当日予約を開けたら、今度は現場が悲鳴を上げた

その後、Googleカレンダーと完全に双方向同期する仕組みを整え、直前でも予約を受けられるようになりました。ダブルブッキングも起きません。

予約は増えました。嬉しい話です。

ところが、現場が忙しくなりました。

私たちは、お客様が迷わないように、部屋の前に利用時間とお名前を書いた張り紙を出していました。予約が増えれば、この作業も増えます。当日予約が入れば、その都度貼り替えなければならない。スタッフは疲弊しました。

お客様を迷わせないためのサービスが、自分たちを苦しめていたわけです。

少人数で運営していると、こういうことが起こります。親切心で始めた作業に、後から足を取られる。心当たりのある方は多いのではないでしょうか。

そこで、Googleカレンダーの情報をリアルタイムで読み込むデジタルサイネージを開発しました。館内のモニターに、今どの部屋が誰のご予約かが自動で表示されます。張り紙の作業からは完全に解放されました。

そしてこれが、お客様にも好評でした。

予約して到着したときに自分の名前がないと、お客様は不安になります。特に直前に予約された方は、本当に予約が通っているのか確信がないまま現地に来られる。それが解消できたのは、お客様にとっても良かったことだと思います。

自分たちの手間を減らすためにやったことが、結果としてお客様の体験も良くしていた。妥協ではなく、より良い形になったのです。

最後の最後で、届かなかった

この10年で、ありとあらゆる予約システムを試してきました。ASP、WordPressのプラグイン、海外製のサービス。

そしていつも同じことが起きました。

調べて、比較して、試用して、「これは自分たちにぴったりだ」と判断する。設定を作り込む。運用に乗せる直前になって、最後の最後で要件に合わないことが判明する。そこまでに費やした時間が、まるごと消える。

これを何度も繰り返しました。

無駄だったのは、どれか特定のサービスではありません。そこまで進まないと分からない、ということ自体が無駄だったのです。カタログや機能表では判断できない。実際に運用してみないと見えない。そして少人数の事業者にとって、この試行のコストが何より重い。

いちばん惜しかったのは、Bookly

その中で、私たちのニーズにかなり近かったのがWordPressのプラグイン「Bookly」でした。

海外製ですが非常に柔軟で、機能面では私たちの要件をほぼ満たしてくれました。正直、これで行けると思いました。

ただ、ひとつだけ、どうにもならない問題がありました。

日本人はカレンダーから選ぶのです。

Booklyは、まずプランを選び、それから日時を選ぶという設計になっています。海外ではそれが自然なのだと思います。しかし日本のお客様は、まずカレンダーを見て、空いている日を探し、そこから予約に進もうとされます。この順番が違うだけで、初めてのお客様にはハードルになりました。

これは機能表には絶対に載っていない項目です。事前の検討では気づけません。実際にお客様が予約する場面を見て、離脱するところを見て、初めて分かることでした。

結局、自分たちで作りました

これらすべてを踏まえて、私たちは自社で予約システムを開発するという結論に至りました。

「機能が足りなかったから作った」のではありません。探し続けるコストのほうが、作るコストを上回ったという判断です。

現在稼働しているシステムには、10年の運営でぶつかってきたことを、ひととおり実装しました。

  • 時間貸しと1日貸しを同じ部屋で併売できる(平日は時間貸し、土日祝は1日料金といった曜日区分別の設定も可能)
  • 平日/土日祝の時間単価、季節料金、キャンペーン価格
  • Googleカレンダーとの完全な双方向同期(外部での予定変更も取り込み、ダブルブッキングを防止)
  • クレジットカード、PayPal、銀行振込、コンビニ、請求書払いの5つの決済手段
  • 未入金の予約は期限が来れば自動でキャンセルし、枠を自動開放
  • 振込で申し込まれた後でも、お客様がマイページからカード払いに切り替え可能
  • キャンセル料は規定どおり自動計算し、その計算式(内訳)まで画面とメールに明示
  • 回数券(チケット)のオンライン販売と、残時間・有効期限の自動管理
  • リピーターの「いつもの予約」をワンクリックで再予約
  • 部屋ごとに違う入室方法や解錠番号を、予約確認メールへ自動で差し込み
  • 館内デジタルサイネージへのリアルタイム表示

稼働してまだ間もないですが、お客様からは「使いやすい」というお声をいただいています。運営側の手間が減っただけでなく、お客様の体験も良くなった。ここが一番の手応えです。

実は、母体はWEB制作会社です

ここまで読んでいただいて、「なぜこの会社は予約システムを自分で作れたのか」と思われたかもしれません。

レンタルスペースALBEの母体は、名古屋のWEB制作会社「株式会社ファーストクリエイト」です。

予約システムを自作できたのは、私たちが特別に優秀だったからではなく、たまたまその技術を持っていたからにすぎません。

多くのレンタルスペース事業者さんがポータルサイトに頼るのは、インターネット上での戦い方を知らないからです。これは能力の問題ではありません。どの業界でも同じことが起きています。本業で手一杯なのに、そのうえWEBの専門知識まで求められるほうが無理があります。

私たちはたまたま、レンタルスペースを運営する側と、システムを作る側の両方に立っていました。だから10年かけて遠回りできた。それだけのことです。

同じところで詰まっている方へ

もし今、ASPが合わずに困っている、直販を増やしたいがシステムが見つからない、という状況であれば、一度ご相談ください。

私たちが構築した予約システムは、他の施設向けにカスタマイズしてご提供することが可能です。レンタルスペース特有の要件は、すでにひととおり実装済みです。ゼロから作るのとは、かかる時間もコストもまったく違います。

ただし、正直に申し上げます。

ASPで足りている方には、ASPをおすすめします。

料金設定がシンプルで、施設数が少なく、今のシステムで手間を感じていないのであれば、わざわざ自社開発する理由はありません。月額数千円から一万円台で使えるサービスを、あえて置き換える必要はないのです。

自社開発が意味を持つのは、複数施設を運営していて、料金体系が複雑で、ASPに合わせるために毎日どこかで手作業が発生している、という状況の場合です。その手作業の年間コストと、ポータルサイトに支払っている手数料の合計が、システムへの投資と釣り合うかどうか。ぜひ一度、ご自身の数字で計算してみてください。

計算のお手伝いも含めて、10年分の経験は惜しみなくお伝えします。お気軽にご相談ください。

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