
レンタルスペースの心配ごととして挙がるものに、騒音トラブルがあります。
近隣からの苦情。場合によっては、利用中に止められるという話まで出てきます。
イベントの主催者にとっては、これが一番怖いかもしれません。当日に止められたら、すべてが台無しになります。
今回は、この騒音トラブルが実際にどうして起きるのかを書きます。
結論から言えば、音量の問題ではありません。
実際にあった話|フルートの演奏
聞いたことのある話です。私たちの施設ではありません。
あるお客様が、会議室を予約されました。
そして、そこでフルートの演奏をする予定だと、スペースのオーナーに話をしました。
すると、オーナーからこう言われたそうです。
「それは他の部屋にとって騒音になるので、予約をキャンセルしたい」
そのお客様は、結果として私たちのスペースへ利用を変更されました。
どちらも、悪くありません
この話の要点は、どちらも間違っていないということです。
主催者の側から見ると
ご本人にとって、フルートはそれほど大きな音でもありません。
騒音ではなく、音楽を静かに聴いてもらう。 そんなイベントだったのかもしれません。
施設の側から見ると
ところが、受け入れる側のスペースとしては、近隣のスペースのことも考えなければなりません。
演奏イコール騒音というような認識で捉える。
そうすると、話が全然変わってきます。
ずれているのは、認識です
主催者にとっては大きな音ではないと認識していても、スペース側にとっては大きな音だと認識してしまう。
そんなことが、あり得ます。
悪意はどこにもありません。 それでも、予約が取り消されます。
音楽だけが、騒音ではありません
ここで、見落とされやすいことをお伝えします。
騒音は、楽器や音楽だけではありません。
- 大人数の話し声
- 子どもの足音
これらも、騒音のひとつになり得ます。
楽器や音響設備を使うなら、「音が出る」と自覚できます。ところが、話し声や足音は、出している側に自覚がありません。
たとえば、お子さん連れの集まり。主催者にとっては、音を出している感覚はまったくないと思います。それでも、階下には響きます。
「うちは音楽をやらないから大丈夫」とは言い切れない、ということです。
実は、施設の構造でほぼ決まります
ここからが、今回で一番お伝えしたいことです。
騒音トラブルが起きるかどうかは、利用される方が気をつけるより先に、施設の構造でほぼ決まります。
隣に別のテナントがあれば、音は伝わります。上下の階に事務所があれば、足音は響きます。
どれだけ気をつけても、限界があります。
私たちは、物件を選ぶ段階で対処しています
レンタルスペースALBEでは、基本的にワンフロアに1スペースが望ましいと思っています。
そのため、ほとんどの施設では、隣のスペースに干渉することがない環境を意識して物件選びをしています。
これは運用の工夫ではありません。借りる建物を決める段階での判断です。
利用される方にとっての意味
この方針は、利用される方から見ると二重の意味を持ちます。
- 自分の音で、誰かに迷惑をかける心配が少ない
- 隣の音に、自分の時間を邪魔される心配も少ない
騒音の不安には、この両方があると思っています。
音が出る利用は、先に伺います
もうひとつ、私たちがやっていることがあります。
音が発生する場合、お客様に詳しくお伺いします。
たとえば楽器を持ち込まれるという話であれば、次のようなことを聞きます。
- どんな楽器なのか
- どれくらいの音が出るのか
- 何時から何時ぐらいに、その音が発生するのか
そのうえで、きちんとお返事をするようにしています。
時間帯まで聞く理由
楽器の種類だけでは判断できません。
同じ音でも、昼と夜では周囲への影響がまったく違います。
平日の日中であれば問題なくても、夜間や日曜の朝なら話が変わる建物もあります。だから、時間帯まで含めて確認します。
断られるなら、早いほうがいい
これは、お客様にとっても意味があります。
予約が取れた=使える、とは限りません。
先ほどのフルートの話のように、後からキャンセルを求められることがあります。そうなると、予定が崩れます。
予約前に判断できれば、別の施設を探す時間があります。
だから私たちは、先に聞きます。受けられないなら、その場でお伝えします。
では、注意されるのはどんなときか
参考までに、私たちが実際に注意する場面を書いておきます。
音量そのもので注意することは、ほとんどありません。
注意するのは、次のような場合です。
- 申告と違う利用をされたとき(これはきつく注意します)
- 時間になっても撤収しないとき
- 片付けをしていただけないとき
お気づきでしょうか。
どれも、音の話ではありません。約束の話です。
つまり、こういうことです
真っ当に使っていれば、音で止められることはまずありません。
気をつけるべきなのは、音量を抑えることではなく、最初に用途を正確に伝えること。 そして時間を守ることです。
予約前に、確認できること
ご自身で確かめられることを書きます。
1. 何をするのかを、正確に伝える
これが一番大事です。
「会議で使います」ではなく、「10人で会議をして、途中で15分ほど音楽を流します」まで伝えてください。
細かく伝えるほど、後でトラブルになりません。
音を伴う利用であれば、先ほど私たちが聞いている3点を、最初から添えておくとスムーズです。
- 何を使うのか(楽器・音響機材など)
- どれくらいの音量か
- 何時から何時に音が出るのか
伝えた結果として断られたなら、それは幸運です。 当日に止められるより、はるかにいい。
2. 隣や上下に何があるかを聞く
「隣は何が入っていますか」
これは聞いていい質問です。事務所なのか、住居なのか、別のスペースなのか。それによって、気をつけるべきことが変わります。
3. 音に関する制限を確認する
何時まで音を出していいのか。 楽器は可能か。音響設備を持ち込めるか。
施設によって、まったく違います。
4. 時間の考え方を確認する
利用時間に、準備と片付けは含まれているか。
ここを勘違いすると、時間を超過します。 そして時間の超過は、実際に注意される原因になります。
まとめ
騒音トラブルについて、整理します。
- 主催者と施設側で、同じ音への認識がずれることがある
- 音楽だけでなく、話し声や足音も騒音になり得る
- 起きるかどうかは、施設の構造でほぼ決まる
- 注意されるのは、音量ではなく「約束と違うとき」
そして、利用される方にできる一番効果的なことは、何をするのかを正確に伝えることです。
隠す必要はありません。伝えたうえで受けてくれる施設を選べば、当日に困ることはありません。
次回|最終回
次回で、このシリーズは最終回です。
実在しないスペースと、口コミの読み方について書きます。
いわゆる「幽霊スペース」は、稀だと思っています。ただし、確かめる方法はあります。
そして、運営している側から見た口コミの読み方も書きます。星の数だけでは分からないことがあります。
シリーズ一覧|レンタルスペースは危ない?(全5回)
- #1 運営者が、正直にお答えします
- #2 「高額請求」の正体は、たいてい悪意ではありません
- #3 室内にカメラは、置いていません
- #4 騒音トラブルは、音量の問題ではありません(この記事)
- #5 最終回|幽霊スペースの避け方と、口コミの読み方
運営する側の話も書いています
レンタルスペースを運営・開業される方向けの連載もあります。
【筆者】
レンタルスペースALBE 運営会社 株式会社ファーストクリエイト 代表取締役 鬼頭創一