【選ばれるレンタルスペースの作り方 #1】10年やってきて、大切にしてきた3つのこと

事業者の方へ

レンタルスペースALBEは、名古屋で10年運営しています。

この10年、ずっと持ち続けてきた目標がひとつあります。

地域ナンバーワンのレンタルスペースを作る。

これだけです。

ただ、ここで言うナンバーワンは、売上でも稼働率でも施設数でもありません。もっと手触りのある定義を持っています。それは後半に書きます。

このシリーズでは、その目標のために何をしてきたのかを、10回にわたって公開します。

料金の決め方、写真、Googleビジネスプロフィール、清掃、リピーター、そして困ったお客様への対応まで。手の内はほぼ全部出すつもりです。

今回はその1回目として、なぜこの目標だったのかを書きます。


直販を選んだのではなく、それしかありませんでした

私たちがレンタルスペースを始めた頃、スペースマーケットさんもインスタベースさんも、まだありませんでした。

正確に言えば、あったのかもしれません。ただ、私たちは気づいていませんでした。

つまり、売上を伸ばすためには、自分たちで頑張るしかなかったのです。

よく「直販を主軸にしています」と話すと、戦略的な判断だったように受け取られます。そうではありません。

他に方法がなかった。それだけです。

やっていたのはSEOでした

では、どうやってお客様を集めていたのか。

シンプルにSEOです。 検索で上位に表示されること。それが主な取り組みでした。

ただし、これはあくまで10年前の話です。

集客の手法は、この10年で大きく変わりました。私たちも同じところに留まってはいません。

今はGoogle広告も運用していますし、AI検索への対策にも取り組んでいます。ChatGPTやGeminiのようなAIに質問して店を探す人が、実際に増えているからです。検索エンジンで上位を取ることと、AIに引用されることは、必要な作業が違います。

集客に「これをやっておけば安心」という正解はありません。

そのときどきで有効な手法を試し、効果を見て、続けるか止めるかを判断する。その繰り返しです。10年前のSEOも、今のAI検索対策も、やっていることの本質は同じだと思っています。

変わらないのは、検索で見つけてもらって、そのまま自社で受けるという一本の線です。Googleビジネスプロフィールの強化も、写真へのこだわりも、予約システムを自社で作ったことも、すべてこの線の上にあります。

SNSは、試したうえで使っていません

SNSもやってみました。

ただ、どこに視点を置いてアピールすればいいのかが見えませんでした。

試してみた結果、分かったことがあります。そこに「スペースを使いたい」と思っている人がいなかったのです。

効果が見込めるのであればSNSは強い手段だと思います。ただ、私たちの場合は販促ツールとして機能しませんでした。

もしかしたら、効果の出る展開手法がどこかにあるのかもしれません。 私たちが見つけられなかっただけ、という可能性は十分にあります。

ただ、それよりもGoogleビジネスプロフィールへの投稿のほうが、実感のある効果を得られました。だから今はそちらに注力しています。

やらない理由が「手が回らない」ではなく、試したうえで、効いたほうを選んだということです。


ポータルが登場したとき

やがて、スペースマーケットさんやインスタベースさんが登場します。

正直な感想を言えば、すごいシステムを作ったなと思いました。

ただ、当時はまだ新しいジャンルのビジネスでしたし、私たち自身が全国ポータルに踏み込むという発想は持っていませんでした。

そして、主戦場にもしませんでした。補助的な販促チャンネルという位置づけです。今もその考え方は変わっていません。

理由は2つあります。

1. 手数料が重いこと

ポータル経由の手数料は、おおむね30%です。

10万円の売上に対して3万円。これが毎月、毎年積み上がります。自力走行を続けたほうが、売上的には良い。 単純な計算です。

2. コントロールできない商圏だったこと

ただ、私にとってはこちらのほうが大きな理由でした。

自分たちでコントロールできない商圏を主戦場にすることに、不安を感じていました。

表示の順位も、掲載のルールも、手数料の設定も、こちら側では動かせません。そこに売上の大半を預けるのが怖かった。

なお、今のポータルサイトが大きな力を持って市場を牽引していることは、素直にすごいと思っています。 業界そのものを広げてくださいました。

ただ、預ける先と、自分で持つものは、分けておきたい。そう考えてきました。


では、ナンバーワンとは何か

ここからが本題です。

冒頭に書いたとおり、私たちの言うナンバーワンは、数字の話ではありません。

こういうことです。

スペースを探している人が、この地域のことをよく知っているレンタルスペースALBEを頼ってきてくれること。

売上でも稼働でもなく、最初に相談される存在になることを目指してきました。

貸せないときにも、できることがあります

具体的にどういうことか。

お問い合わせをいただいたときに、キャパシティが合わないことがあります。急にスペースが必要だけれど、弊社の施設では提供できないこともあります。

そんなとき、私たちは名古屋市内や近郊のレンタルスペースを紹介しています。

これができるのは、普段から近隣の施設をある程度ベンチマークしているからです。どこにどんなスペースがあって、何人まで入って、どんな用途に向いているか。競合を知らなければ、紹介はできません。

特に、名古屋の地域を知らない東京や大阪のお客様にとっては、これが大きな違いになります。

「空いていません」と答えて終わるのと、他社を紹介するのとでは、受け取る側の印象がまったく違います。実際、お客様から感謝の言葉をいただくことが多くあります。

「レンタルスペースALBEは役に立つ」

そう思っていただくこと。それが私たちの考えるナンバーワンです。だから、一つひとつのお問い合わせに丁寧に対応しています。


一円にもならなかった対応の話

実際にあった話を書きます。

あるとき、困った様子のお客様から問い合わせをいただきました。

予約していたスペースが、急に使えなくなったというのです。先方の手違いでダブルブッキングになっていたそうです。イベントの予定は決まっている。会場だけがない。

あいにく、弊社も満室でした。 お貸しできる部屋がありません。

普通なら、ここで「申し訳ありません」と答えて終わりです。

ただ、かなり困っていらっしゃる様子でしたので、複数の競合レンタルスペースをご紹介しました。

その結果、無事に予約ができて、イベントも開催できたそうです。後日、感謝のお返事をいただきました。

この対応で、私たちの売上は一円も増えていません。

その後のこと

話には続きがあります。

そのお客様は、その後リピーターになってくださいました。

数か月に一度ご利用いただいて、すでに5年ほどのお付き合いになります。

誤解のないように書いておくと、あのとき見返りを計算していたわけではありません。 困っている方がいたから紹介した。それだけです。結果として5年続く関係になった、という順番です。

ただ、この一件は私たちの考え方を裏づけてくれました。

部屋を貸すことは、私たちの仕事の一部でしかない。

そしてもうひとつ。他社のトラブルで困ったお客様が、なぜ弊社に問い合わせてこられたのか。 その時点ですでに「困ったらここに聞けばいい」と思っていただけていたということです。

目指してきたものが、そこにありました。


大切にしてきた3つのこと

この10年、地域ナンバーワンになるために大切にしてきたことが3つあります。

1. 直販を主軸にする

先に書いたとおりです。集客を人に預けず、自分たちで取る。そのためにSEOを続け、Googleビジネスプロフィールを強化し、写真にこだわり、最終的には予約システムまで自社で作りました。

2. 部屋の清潔感とクオリティを高める

どれだけ集客しても、部屋が期待を下回れば次はありません。

私は前職がホテルマンで、客室清掃課にも数年いました。そこで学んだ清潔感の基準を、レンタルスペースにそのまま持ち込んでいます。

3. 部屋を提供して終わりではないサービスと、伴走サポート

先ほどの紹介の話が、まさにこれです。

貸して終わりではない。お客様がやりたいことを実現できるところまで付き合う。 それがリピートにつながり、口コミにつながります。


このシリーズについて

次回から、この3つを具体的に掘り下げていきます。

料金をどう決めているのか。写真になぜこだわるのか。清掃で何を基準にしているのか。リピーターをどう増やすのか。そして、困ったお客様にどう対応するのか。

どれも、10年やってきて実際に効果があったことだけを書きます。うまくいかなかったことも書きます。

これから始める方にも、すでに運営されている方にも、何か持ち帰っていただけるものがあれば幸いです。


シリーズ一覧|選ばれるレンタルスペースの作り方(全10回)

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これから始める方向けの連載です。物件選び、資金、消防法、撤退ラインまで全13回。


【筆者】

レンタルスペースALBE 運営会社 株式会社ファーストクリエイト 代表取締役 鬼頭創一

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