【選ばれるレンタルスペースの作り方 #7】自動返信メールを、もっと働かせる

事業者の方へ

レンタルスペースの運営で、すぐにできて、効果が出やすい改善があります。

自動返信メールです。

問い合わせフォームに設定してある、あの短い文面のことです。

お問い合わせありがとうございます。担当者より折り返しご連絡いたします。

多くの施設が、このくらいの内容で止まっているのではないでしょうか。私たちも、かつてはそうでした。

これは、もったいない。

自動返信メールは、お客様に最も早く届くメッセージです。ここをきちんと働かせるだけで、問い合わせの数が減り、予約の決定率が上がります。

今回は、その考え方と具体的な中身を書きます。


問い合わせは、最終判断の直前に来ている

まず、お客様の側から見てみます。

スペースを探している方は、だいたい3つくらいまで候補を絞り込んでいます。 そのうえで、気になる施設に補足の質問をしてきます。

ここで大事なことがあります。

インターネットの世界で「質問する」というアクションは、非常に重い作業です。

文章を書かなければいけません。返事を待たなければいけません。面倒です。それでもあえて聞いてくるということは、かなり熱い状態にあるということです。

ご自身の経験を思い返してみてください。ネットで問い合わせをするのは、たいてい最終ジャッジの段階ではないでしょうか。

まさにその状態のお客様が、こちらに連絡をくださっているわけです。

このタイミングを逃してはいけません。


遅れた返信は、届いた時点で手遅れです

ところが、そこに返るのが定型の一文だとどうなるか。

お問い合わせありがとうございます。担当者より折り返しご連絡いたします。

そして実際の返事は翌日以降になります。

その頃には、他社のスペースで決まっているかもしれません。

私たちは、問い合わせへのレスポンスを24時間以内と定めて運用しています。ただ、創業当初はそんな人員配置は無理でした。全部自分でやっていました。「◯月◯日空いてますか」「◯◯のオプションはありますか」といった質問に、夜中でも返していました。

正直に言えば、ネットに書いてあるのに、と思ったこともあります。

でも、続きません。人を増やすか、仕組みを変えるかしかない。

そこで手をつけたのが、自動返信メールでした。


自動返信に、何を書くか

やることは単純です。聞かれる前に、答えを置いておく。

具体的には次の3つです。

1. よくある質問を、5つほど簡潔に載せる

頻繁に聞かれる内容を、上位5つくらい選んで、自動返信の本文に直接書いてしまいます。

料金、オプション、キャンセル、駐車場、搬入。施設によって違うと思いますが、毎回同じことを聞かれている項目が必ずあるはずです。

2. Q&Aページへのリンクを置く

公式サイトからの問い合わせであれば、Q&Aページへ誘導するリンクを設置します。

本文に全部書ききれない部分は、ここで引き受けます。

3. ポータル経由では、本文に仕込む

スペースマーケットさんのように、メッセージ上にURLを設置できないケースがあります。

その場合は、料金やオプションなど頻度の高い質問への回答を、あらかじめ返信本文に仕込んでおきます。 リンクが使えないなら、本文で完結させるしかありません。


長くなっても構いません

自動返信メールは短くまとめるもの、という感覚があるかもしれません。

私は、多少長い文章になっても良いと思っています。

理由は単純で、お客様は答えを知りたいからです。

質問した直後に、その場で疑問が解決するかもしれない。 そうなれば、返事を待たずに、そのまま予約申し込みにつながります。

丁寧に短くまとめた一文より、答えが書いてある長い文面のほうが、この場面では役に立ちます。

そして、これは今すぐできる改善です。設備投資も、システム改修も要りません。文面を書き換えるだけです。


約束は24時間、実態はそれより早く

もうひとつ、運用の話を書いておきます。

レスポンスの速さを掲げるとき、宣言と実態はずらしておくことをおすすめします。

私たちは対外的に24時間以内と案内していますが、実際にはもっと早く返しています。

理由は2つあります。

ひとつは、守れない約束をしないためです。速さを公約にして一度でも遅れると、そこで信用を落とします。

もうひとつは、期待を上回れるためです。24時間と言われていて半日で返ってくれば、それだけで印象が変わります。

速さを謳うなら、余裕を持って宣言して、必ず上回る。ホテル時代から変わらない考え方です。


その後、自動返信はシステムになりました

ここからは、今の話です。

私たちは2026年に、予約システムを自社で開発しました。 メールのテンプレートは50種類以上あります。

そこで何をしたかというと、当時やろうとしていたことを、そのまま突き詰めました。

FAQをしっかり作り込み、自動返信の内容もバージョンアップしました。文面を手で書き換えていた頃とは、できることの幅が違います。昔の経験を、システムとして実装できたという感覚があります。

そして、結果として起きたことがあります。

問い合わせそのものが、明らかに減りました。


答えを先回りして置けば、聞かれなくなる

これは、自動返信に限った話ではありません。

私たちは予約システムを作るときに、空き状況を確認できるページも用意しました。すると「◯月◯日の◯時、空いていますか」という電話が、ぱたりと止まりました。

自動返信を厚くするのも、FAQを整えるのも、空き状況を見せるのも、やっていることは同じです。

聞かれる前に、答えを置いておく。

それだけで、問い合わせは減ります。そしてお客様は、待たずに決められます。


減った時間を、何に使うか

最後に、一番書きたかったことを書きます。

問い合わせを減らすことは、目的ではありません。

私たちは以前から、対応をできるだけ早くすることを意識してきました。ただ、追われている状態では、対応の質は上がりません。 早く返すことで精一杯になります。

問い合わせが減って、まず変わったのはスタッフの疲弊でした。

そして、そのぶんをお客様の来場時の対応に向けられるようになりました。

メールの前に座っている時間が減って、目の前のお客様に使える時間が増えた。これが一番の変化です。

自動返信メールを厚くするのは、楽をするためではありません。本当に人が必要な場面に、人を回すためです。

まずは文面の書き換えから。それだけでも、変わります。


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【筆者】

レンタルスペースALBE 運営会社 株式会社ファーストクリエイト 代表取締役 鬼頭創一

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