【レンタルスペースの始め方 #1】初月の売上は、5万円でした

事業者の方へ

レンタルスペースを始めたい。そう考えている方に向けて、全13回の連載を書きます。

私たちは名古屋でレンタルスペースALBEを10年運営しています。今でこそ複数の施設を持っていますが、始まりは1部屋です。

そして、その初月の売上は5万円でした。

今回は、その1部屋がどう始まったのかと、これから始める方が取りうる3つの入り方について書きます。


空いている時間が、もったいなかった

まず、私たちの出発点から書きます。

10年ほど前、弊社には写真事業部がありました。今はもう解体していますが、当時はカメラマンを抱えて撮影の仕事をしていました。

そして、撮影用のスタジオを持っていました。これが現在の名駅フリースペースです。

ただ、カメラマンの仕事はロケーション撮影のほうが多い。 つまり、スタジオは空いている時間が長かったのです。

もったいない。

きっかけはそれだけです。事業計画があったわけでも、新規事業を探していたわけでもありません。

「レンタルスペース」という言葉を知って

そんなときに、レンタルスペースという言葉を知りました。

そして、まずはやってみようから始まりました。


最初にやったのは、サイトを作ることでした

何から手をつけたか。

ウェブサイトを作ってみたことがスタートです。

しかも、デザイナーなども使わず、テンプレートで作りました。

弊社はウェブ制作もやっている会社です。作ろうと思えば、きちんと作れました。それでも、テンプレートで出しました。

売れるかどうか分からないものに、最初からお金をかける理由がなかったからです。

市場は、調べました

とはいえ、まったくの手探りではありません。

当時、貸し会議室などの業態はすでに顕在化していました。 そういったマーケットは調べて、参考にしました。

そこで気づいたことがあります。

「スタジオ」としての出展数は、少なかったのです。

会議室はたくさんある。でもスタジオは少ない。なら、やってみよう。


初月から予約が入って、驚きました

やってみたら、初月から予約が入りました。

正直、驚きました。

需要がもともとあったのです。 私たちが作り出したのではなく、探している人がすでにいた。ただ、供給が少なかった。

売上は少額でしたが、ちょっとずつ手応えを感じながら進みました。

初月の月商は5万円です。


華々しいスタートではありませんでした

正直に書きます。

初年度は、月商でいえば10万円。良くて20万円くらいだったと思います。

創業時はまったく華々しいスタートではありませんでした。 家賃の足しになる程度です。

手応えを感じたのは、2年後でした

「これはいける」と思えたのは、いつだったか。

複数日連続で利用したいお客様や、定期で利用したいというご希望のお客様が見えてきてからです。

単発の利用ではなく、繰り返し使ってくださる方の存在が見えた瞬間でした。

ただし、そこまでに2年くらいはかかっています。


ここで、大事な前提を書いておきます

ここまで読んで、「月10万円で2年も続けられるのか」と思われた方がいるはずです。

続けられた理由があります。

スタジオを使用していたのは、当時の写真部でした。 つまり、家賃は写真部の経費として見ていたのです。

レンタルスペース事業としては、家賃負担をあまり深く考えなくてよかった。

だから、長い下積み時代を乗り越えることができました。

つまり、こういうことです

入り方が違えば、許される時間が違います。

すでにある場所を使うなら、失敗しても失うものは多くありません。だから時間をかけられます。

しかし、新規に物件を借りて始めるなら、月10万円で2年は待てません。

同じ「レンタルスペースを始める」でも、背負うリスクはまったく別物です。


3つの入り方

これから始める方には、大きく3つの入り方があります。

A. 遊休スペースを活用する

すでに持っている場所の、空いている時間を貸す。

会社の一室、店舗の空きフロア、稼働の低いスタジオや教室。私たちがこれでした。

最大の利点は、家賃が新たに発生しないことです。うまくいかなくても傷が浅い。試す余裕があります。

一方で、本業との兼ね合いが制約になります。使いたい時間が重なれば貸せません。

B. 物件を借りて始める

場所から新しく確保する。

自由度は高く、用途に合わせた物件を選べます。ただし、契約した瞬間から家賃が発生します。

この入り方をするなら、売上が立ち上がるまでの期間を、資金で用意しておく必要があります。 後の回で運転資金の話を詳しく書きますが、ここが一番の分かれ目になります。

C. 不動産オーナーとして活用する

埋まらない物件を、自分で運営する。

テナントが決まらない区画を、貸しスペースとして自分で回す方法です。物件がすでにあるという点ではAに近く、賃料収入の代わりに事業収入を取りにいく形になります。

この連載では、それぞれの立場で判断が変わる場面に、そのつど触れていきます。


私たちは、たまたま運が良かった

もうひとつ、正直に書いておきたいことがあります。

私たちは、たまたまスタジオから入れたのがラッキーでした。

仮に会議室から入っていったら、おそらく続かなかったと思います。

貸し会議室は大手が幅広く展開している領域です。無名の一室で、しかもテンプレートのサイトで、初月から予約が入ったとは思えません。

戦略的にスタジオを選んだわけではありません。 たまたま持っていた場所が、たまたま空いている市場だった。それだけです。

だからこそ、これから始める方にはその選択を意図的にやってほしいと思っています。

どのセグメントで戦うかは、第3回で詳しく書きます。


このシリーズの軸

最後に、13回を通して繰り返し出てくる考え方を先に書いておきます。

最初から完璧を目指さず、走りながら方向を決める。

10年を振り返ると、私たちがやってきたことは全部この形をしています。

共通しているのは、自分で方向を決めるのではなく、お客様のニーズに合わせていったということです。

ビジネスとしては、そのほうが自然だと思っています。

そして、レンタルスペースはそれができる業態です

ここが、この事業の大きな強みです。

飲食店の場合、焼き鳥屋からカフェに業態変更するのは大変です。厨房設備も、仕入れも、スタッフの技能も入れ替わります。

レンタルスペースなら、重くありません。 用途を変えても、箱は同じです。

だから、広く構えることができます。

実際に、私たちも動いてきました

逆に、失敗した施設もあります。

かつて運営していた古民家スペースは、途中で用途を撮影に絞って固定しました。そして半年でクローズしています。

軽く動けるはずの業態で、動かなかった。 それが敗因のひとつでした。


次回

次回は、今どこに需要があるのかを書きます。

コロナ禍を経て、レンタルスペースの利用は大きく変わりました。増えたもの、減ったもの。そして、その背景にある構造について。

何を作るかは、そこから逆算して決まります。


シリーズ一覧|レンタルスペースの始め方(全13回)

あわせて読みたい|選ばれるレンタルスペースの作り方

すでに運営されている方向けの連載です。料金、写真、集客、清掃、リピーターまで全10回。


【筆者】

レンタルスペースALBE 運営会社 株式会社ファーストクリエイト 代表取締役 鬼頭創一

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