【レンタルスペースの始め方 #7】断られた物件に、入居できた話

事業者の方へ

物件が見つかっても、まだ入れないことがあります。

消防法の問題です。

これは物件選びの段階で必ずぶつかる話なので、知っておいたほうがいい内容です。

今回は、一度断られた物件に、どうやって入居できたのかを書きます。建物は何も変えていません。変えたのは、用途の定義だけです。


レンタルスペースは「集会場」になります

まず、前提から書きます。

消防法の中では、レンタルスペース=集会場として括られます。

人が集まる場所なので、当然といえば当然です。

そして問題はここからです。

集会場として使うには、それに対応した消防設備が必要になります。

ビルによって、備え付けの消防設備は異なります。つまり、入居できるテナントの種類も業種も変わってきます。

「良い物件が見つかった」と思っても、そのビルの設備では集会場として使えないということが起こります。


ある物件で、実際に起きたこと

私たちが最近契約した物件の話です。

最初に交渉したときは、断られました。

理由は、まさに上に書いたとおりです。集会場としては入居できない。

普通なら、ここで終わりです。

ところが、話が続きました

その後、ビルメンテナンス会社の方から相談をいただきました。

そして、そこから入居に至ることができました。

なぜ、話が続いたのか

理由がひとつあります。

事前に、ビルメンテナンス会社さんにレンタルスペース事業の説明資料などを提供していたからです。

前々回で、不動産オーナーや仲介業者に提案資料を渡している話を書きました。そして「それでも断られることは多い」とも書きました。

断られても、資料は残ります。

相手がレンタルスペース事業を理解していたから、「こういう条件なら入れるかもしれない」と一緒になって考えてくれるケースが生まれました。

説明資料は、契約を取るための道具というより、理解者を作るための道具なのだと思います。


解き方は、用途を絞ることでした

では、どうやって通したのか。

調べていくと、このビルには別の条件がありました。

消防法で、200㎡以下で、物販店舗であれば入居できることが分かったのです。

レンタルスペースを、物販として扱う

つまり、こういうことです。

レンタルスペースの中でも、ポップアップとして利用するのであれば、消防法的にはクリアである。

集会場ではなく、物販店舗として扱える。

建物は何も変えていません。変えたのは、何に使うかという定義だけです。


所轄の消防署に、直接相談しました

ここからは、具体的な手順です。

電話で相談しました

所轄の消防署に、電話で直接相談しました。

書面での申請でも、窓口に出向いたわけでもありません。まず電話です。

伝えたのは、ビル名とフロアです

ここが実務的なポイントです。

所轄の消防署には、そのビルに関する詳細情報があります。

だから、具体的なビル名と入居フロアを説明して、アドバイスを求めました。

一般論を聞いたのではありません。その物件について答えてもらえるのです。これは大きな違いです。

口頭でOKが出ました

結果として、消防署からは口頭でOKが出ました。

正直に書いておくと、書面ではありません。 担当者からの口頭での確認です。


なぜ、OKが出たのか

ここが一番大事なところだと思います。

私が説明したのは、こういう内容です。

予約システムで利用目的を必ず選択させ、それ以外の目的では利用できないという運用にします。

そして、システムだけで完結させません。

見学などでリアルにお越しになったときにも、利用目的を明確にします。

約束ではなく、仕組みとして説明しました

「ポップアップ以外では使わせません」という約束では、おそらく通らなかったと思います。

そうではなく、システム側でも運用側でも実現できる仕組みとして説明しました。

システム側では、予約の時点で用途を選ばせる。選択肢にないものは受け付けない。

運用側では、見学に来られた際に、何をされるのかを直接伺う。

この二重構造にしています。

申告だけでは、止まりません

なぜ両方が必要なのか。

申告は、いくらでも書けるからです。

私たちは過去に、用途をまったく別のものと申告されて、当日に違うことをされた経験があります。予約フォームの選択肢だけでは防げませんでした。

一方で、見学の場で直接聞けば、話が具体的かどうかで分かります。 実際にやろうとしている人は、細かいことを聞いてきます。

担当者から見れば、努力目標ではなく構造として守られると判断できます。

だから納得してもらえたのだと考えています。


口頭のOKは、最終的にどうなるのか

「口頭で大丈夫なのか」と思われる方もいると思います。

流れとしては、こうなります。

最終的に、ビルメンテナンス会社から消防署に資料が送られます。

そこに記載されている内容が、相談時にOKをいただいている内容と一致していれば通ります。

つまり、口頭で終わるわけではありません。書面が後から追いかけてくる形です。

相談履歴も残ります

もうひとつ、安心材料があります。

消防署の担当者は、ビルごとに担当分けされているようです。

ですので、私が相談した履歴は残っていると思います。

とはいえ、これは私たちのケースでの話です。すべての地域・すべての物件で同じように進むとは限りません。 必ずご自身で所轄に確認してください。


この話の要点

整理します。

1. レンタルスペースは消防法上「集会場」になる

ビルの消防設備によっては、そもそも入居できません。

2. ただし、用途を絞ることで別の扱いになる場合がある

ポップアップに限定すれば物販店舗。面積の条件と合えば、入居できることがあります。

3. 所轄の消防署に、ビル名とフロアを伝えて相談する

一般論ではなく、その物件について答えてもらえます。電話で構いません。

4. 「仕組みとして守れる」ことを説明する

約束ではなく、システムと運用の両方で担保できる形にする。予約時の選択と、見学時の対面確認。この二重構造が納得の決め手になりました。

5. 断られても、資料は残る

理解してくれた人が、後から道を作ってくれることがあります。


用途を絞ることには、別の効果もあります

最後に、ひとつ付け加えます。

用途を絞ることは、入居のための方便ではありませんでした。

結果として、利用者の質の管理にもなっています。

ポップアップや展示会の主催者は、会場を汚したり近隣に迷惑をかけたりしません。その方たちも商売としてやっているからです。次も使う場所を、自分から壊すことはしません。

第1回で書いた「走りながら方向を決める」という話に近いのですが、制約から入った判断が、結果的に運営を楽にすることがあります。

建物を変えずに、売り方を変えて通す。そして、変えた売り方のほうが良かった。

こういうことも起こります。


次回

次回は、近隣対応について書きます。

開業前の挨拶を、私たちはかなりしっかりやります。理由があります。

予防策は、問題を起きなくするものではありません。起きたときの着地を変えるものです。

実際にトラブルが起きたとき、その差がはっきり出た経験について書きます。


シリーズ一覧|レンタルスペースの始め方(全13回)

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すでに運営されている方向けの連載です。料金、写真、集客、清掃、リピーターまで全10回。


【筆者】

レンタルスペースALBE 運営会社 株式会社ファーストクリエイト 代表取締役 鬼頭創一

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