【レンタルスペースの始め方 #10】ゴールは、家賃の2倍です

事業者の方へ

開業したあと、どこまで行けば成功と言えるのか。

目標がないまま走ると、うまくいっているのかどうかも分かりません。

私たちの見立てを、はっきり書きます。

支払家賃に対して、最終的に2倍稼ぐ。 これがひとつのゴールです。

今回は、その根拠と、実際に買って外した設備の話を書きます。


なぜ「家賃の2倍」なのか

計算はシンプルです。

家賃の2倍を稼げば、そこから家賃を引いても、家賃と同じくらいの金額が残ります。

その中で、光熱費などの経費を支払い、残りを利益とするという考え方です。

実際には、家賃以外にもかかります

家賃に加えて、次のようなものが重なっていきます。

これらを差し引くと、だいたい利益率が20%から25%くらいになってきます。

その水準が、ひとつの合格ラインだということです。

家賃を基準にする理由

なぜ「家賃の何倍」という言い方をするのか。

家賃は、その物件で一番大きく、かつ動かない支出だからです。

売上がゼロでも発生します。満室でも変わりません。だから基準として使いやすい。

家賃20万円の物件なら、月商40万円が目標。暗算できます。


ただし、2倍で満足してはいけません

ここは強調しておきたいところです。

2倍は合格ラインであって、目標ではありません。

さらにそれ以上の売上があれば、それは利益になります。

狙うところは、2倍どころか3倍を目指すべきだと思っています。

理由は、構造にあります

レンタルスペースは、売上が伸びても変動費がほとんど増えません。

家賃は変わりません。融資の返済も変わりません。清掃の手間は増えますが、仕入れはありません。

つまり、2倍を超えた分は、かなりの割合がそのまま利益になります。

前回、この商売は魚屋さんと同じで、毎日消える在庫を持っていると書きました。

裏を返せば、埋めた分の原価がほとんどないということでもあります。

だから、3倍を狙う意味があります。


どれくらいの期間がかかるか

時間の目安も書いておきます。

損益分岐点までは、数か月で達成することは必死です。

そこから1年ほどかけて、家賃の2倍稼げるところにたどり着くように頑張ります。

正直に言えば、この期間は事業者によってまちまちだと思います。立地も、セグメントも、競合の状況も違います。

ただ、「数か月で損益分岐点、1年で家賃の2倍」という目安を持っておくと、進捗が測れます。


ここからは、失敗の話です

設備投資について、買わなくてよかったものを2つ書きます。

どちらも安い買い物ではありませんでした。

① フィッティングルーム

アパレルのポップアップが多く開催される施設に、フィッティングルームを購入しました。

結構、高かったです。

アパレルの催しなら必ず要るだろう、という判断でした。

ところが、利用は時々しかありません。

理由が分かりました。アパレルのポップアップの方々は、什器屋さんにまとめてお願いしてしまうのです。

フィッティングルームも、その一式に含まれている。こちらが用意しても、使われません。

需要の読み違いでした。

② ステージ

もうひとつ、ステージを購入しました。

こちらは、パーティー利用を想定したものです。

ところが、その後パーティー利用を禁止する判断をしました。近隣とのトラブルが理由です。

そのため、ほとんど出動機会を失っています。

こちらは読み違いではありません。方針変更による死蔵です。買った時点では、正しい判断でした。


2つの失敗は、性質が違います

並べてみると、学べることが違います。

フィッティングルームは、事前に防げた可能性があります。

お客様に「什器はどうされていますか」と聞いていれば、分かったかもしれません。第2回で書いたとおり、お客様に聞くのが一番早いのです。

ステージのほうは、防ぎようがありません。

方針が変わることは、事前には読めません。用途が変われば、正しかった投資も死蔵になります。

第4回で、撮影用の家具が多目的化に伴って邪魔になった話を書きました。同じことが、ここでも起きています。


それでも、処分していません

ただ、この2つはそのまま保管しています。

今後、利用する見込みがあるかもしれないからです。

意外な使い道がありました

そして、実際に使い道が見つかりました。

直接の売上への貢献は、正直あまりありません。

しかし、競合比較になった際のサービスオプションとして提案しています。

「ステージもあります」「フィッティングルームもご用意できます」

単体では稼がないけれど、案件を取る場面で効きます。

前回書いた在庫を埋めるための材料として、機能しているわけです。

ただし、これは結果論です

正直に書いておきます。

買うときに、この効果を見込んでいたわけではありません。

外した買い物が、たまたま別の使い道を持っていた。それだけです。

ただ、ここから言えることはあります。

失敗した買い物でも、捨てる前に別の使い道を探してみる価値はあります。

保管できるのは、場所があるからです

もうひとつ、条件を書いておきます。

私たちは複数の施設を持っているので、保管できています。

1施設しかなければ、置き場所そのものが売り物の中にあります。倉庫代わりに使えば、その分だけ貸せる面積が減ります。

小さく始める方ほど、「置いておく」という選択肢が取りにくいということは、知っておいてください。


そして、撤退のときに効いてきます

最後に、重い話を書きます。

前回、撤退のときには原状回復の費用と什器の処分が大きな負担になると書きました。

入れたものは、全部出すことになります。

買うときにお金がかかり、捨てるときにもお金がかかります。

第4回で「ミニマルに始める」と書いた理由は、ここにもあります。

節約のためだけではありません。 出口の負担を軽くするためでもあります。


まとめ

1. ゴールは家賃の2倍。利益率20〜25%が合格ライン

家賃を基準にすると、暗算できます。

2. ただし2倍で満足しない。狙うのは3倍

変動費がほとんど増えない構造なので、超えた分は利益になります。

3. 目安は、数か月で損益分岐点、1年で家賃の2倍

4. 設備は外すことがある。理由は2種類

需要の読み違いと、方針変更による死蔵。前者は聞けば防げます。後者は防げません。

5. 外しても、捨てる前に使い道を探す

ただし、保管できる場所があるかどうかは別問題です。


次回

次回から、運営とリスクの話に入ります。

まずは、一人でどこまで回せるかです。

レンタルスペースは、かなり一人で回せる商売だと思っています。その理由と、私たちの実際の体制について書きます。


シリーズ一覧|レンタルスペースの始め方(全13回)

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すでに運営されている方向けの連載です。料金、写真、集客、清掃、リピーターまで全10回。


【筆者】

レンタルスペースALBE 運営会社 株式会社ファーストクリエイト 代表取締役 鬼頭創一

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