
レンタルスペースを始めようとするとき、気になることのひとつが人手だと思います。
副業で始めるなら、本業と両立できるのか。専業でやるなら、どこまで一人で持てるのか。
結論から書きます。
レンタルスペース事業は、かなり一人で回せる商売です。
ただし、条件と代償があります。今回はそこを正直に書きます。
なぜ、一人で回せるのか
理由は、事業の構造にあります。
仕入れや調理などの作業が、ほとんどありません。
飲食店なら、毎日の仕入れがあります。原価を管理し、在庫を数え、仕込みをする。営業中は調理があります。
レンタルスペースには、それがありません。
だから、清掃や管理に集中することができます。 結果として、それほど時間がかからないというメリットがあります。
規模の目安
保有しているスペースの種類や広さによって変わりますが、目安を書きます。
副業から始めるなら、1スペース
副業からスタートするのであれば、1つのスペースだと思います。
本業がある状態で、清掃と問い合わせ対応と集客を回す。1つなら十分に可能です。
専業なら、数か所
専業でやっていくのであれば、無人運営の仕組みを導入して数か所は可能だと思います。
ここで大事なのが、無人化です。
私たちの場合
具体的に書きます。レンタルスペースALBEで言えば、
- 名駅フリースペース
- アルベホール名古屋
- エクササイズスペース
- 名駅防音室A・B
このあたりまでは一人で回せます。
これ以上になると、アルバイトさんの助けが必要になります。
ただし、休みはありません
ここは正直に書いておきます。
これだけのスペースを回して、販促もして、クオリティも維持するには、休みはないと思ってください。
清掃は毎日発生します。問い合わせは土日も来ます。トラブルは時間を選びません。
「一人で回せる」は、「楽に回せる」という意味ではありません。
一人で持てる限界まで持つと、そこから先は自分の時間で埋めることになります。
これから始める方には、どこまでを一人でやるかを先に決めておくことをおすすめします。
10年前より、はるかに有利です
とはいえ、状況は良くなっています。
今はスマートロックなどで無人化もしやすくなりました。 そういった意味では、10年前と比較して有利です。
システムを使えば、ほぼ手離れします
予約から決済まで自動にできます。
問い合わせに個別で返して、空き状況を確認して、振込を確認して、当日の解錠方法を案内する。この一連の作業が、仕組みで処理できます。
そうすると、現地に残るのは清掃と備品管理くらいです。
10年前は、ここに人が張り付いていました。その分の労力が、まるごと浮いています。
無人運営の仕組みについては、このシリーズの最終回でもう少し詳しく書きます。
人を入れたら、何を任せるか
スペースが増えて、人を入れる段階になったときの話です。
私たちのスタッフは、ほとんどアルバイトです。 紹介で入ってもらった主婦の方が中心です。
清掃を任せ、自分は前に出ます
清掃などの業務はアルバイトさんに任せて、自分は販促や新たなスペースの開発などに意識を向けます。
ここは、はっきり分けています。
現場の作業は任せられます。しかし、次の一手を考えるのは自分の仕事です。 そして、そこに時間を使わないと事業は伸びません。
清掃の外注は、ほとんど不要です
なお、清掃業者への外注は、ほとんど必要ないと思っています。
年に数回、業者さんに入ってもらってしっかり清掃してもらう。 それ以外は、ほとんど自社メンバーで回せています。
ただし、自分も現場に入ります
任せると書きましたが、完全に手を引くわけではありません。
時にはプレイヤーとしても動いたり、柔軟にしています。
理由があります。
ホテルには「インスペクター」という仕事があります
私は前職がホテルマンで、客室清掃課に2年半いました。
そこには、インスペクターという仕事があります。
メイドさんが清掃した部屋をチェックして、クオリティを維持する仕事です。
掃除をする人とは別に、見る人がいる。それが品質の担保になっていました。
同じことを、自分でやります
私たちも同じです。
定期的に清掃に入り、クオリティを維持します。
自分で手を動かすと、分かることがあります。この部屋はどこが汚れやすいのか。基準どおりに仕上がっているか。伝えたことが伝わっているか。
報告を聞くだけでは分かりません。
基準を渡すだけでは、足りません
私たちは、清掃の基準を「前の利用者の痕跡を残さない」という一言で共有しています。
「きれいにしてください」では、人によって基準が違ってしまうからです。
ただ、基準を渡すだけでは足りません。
渡した基準が守られているかを、自分で見る。 そこまでやって、ようやく品質が保てます。
まとめ
1. レンタルスペースは、かなり一人で回せる
仕入れも調理もないので、清掃と管理に集中できます。
2. 副業なら1スペース。専業+無人化なら数か所
私たちの場合は、5スペースまでが一人の限界でした。
3. ただし、休みはない
「回せる」は「楽に回せる」ではありません。
4. 10年前よりはるかに有利
スマートロックと予約システムで、現地に残るのは清掃と備品管理だけになりました。
5. 任せても、自分で見る
清掃は任せる。ただし定期的に自分で入って、基準が守られているかを確認する。
次回
次回は、利用規約と、保険・事故の話を書きます。
規約は開業時に作って、そのまま10年使っている事業者が多いと思います。
私たちは、定期的に見直すことをおすすめします。 理由があります。
悪意を持って使おうとする人ほど、規約をよく読んでいるからです。
シリーズ一覧|レンタルスペースの始め方(全13回)
- #1 初月の売上は、5万円でした
- #2 需要は、お客様に聞くのが一番早い
- #3 初期投資が少ない領域ほど、競合が多い
- #4 最初に揃えない。聞かれてから足す
- #5 「レンタルスペース? 何それ」から始まります
- #6 パルコから1分の物件を、諦めた話
- #7 断られた物件に、入居できた話
- #8 開業前の挨拶が、後で効きます
- #9 この商売は、魚屋さんと同じです
- #10 ゴールは、家賃の2倍です
- #11 一人で5スペース。ただし休みはありません(この記事)
- #12 規約を一番読んでいるのは、悪意を持った人です
- #13 最終回|どこにお金をかけるか
あわせて読みたい|選ばれるレンタルスペースの作り方
すでに運営されている方向けの連載です。料金、写真、集客、清掃、リピーターまで全10回。
【筆者】
レンタルスペースALBE 運営会社 株式会社ファーストクリエイト 代表取締役 鬼頭創一