【レンタルスペースの始め方 #4】最初に揃えない。聞かれてから足す

事業者の方へ

前回、初期投資が参入障壁になるという話を書きました。

まとまった投資が必要な領域は、競合が少ない。だから守りやすい。

そう書いた直後に、正反対のことを書きます。

最初から大量の資金を投入するのは危険です。

矛盾しているように見えると思います。ただ、これは順序の話です。今回はそこを整理します。


投資は必要。ただし、いつするかが問題です

結論から書きます。

投資は必要です。 それは前回書いたとおりです。

問題はタイミングです。

需要の高まりとともに投資を拡大する。 これがビジネスの基本だと思っています。

まだ需要が見えていない段階で設備を揃えても、それが当たる保証はありません。そして外したときに残るのは、使われない設備と、それを買った分の穴です。


私たちも、最初から多目的ではありませんでした

実例で書きます。

現在の名駅フリースペースは、会議、ママ友会、コスプレ、パーティー、展示会と、用途を選ばずに受けられるスペースになっています。

ただし、最初からそうだったわけではありません。

第1回で書いたとおり、ここは撮影スタジオとしてスタートしています。

やったのは、要望に応えることでした

では、どうやって多目的になったのか。

お客様からの要望に、応えていっただけです。

その繰り返しです。

先に揃えたのではありません。聞かれてから足しました。

この順番には、意味があります

先に揃えると、当たるかどうかが分かりません。

聞かれてから足せば、少なくとも一人は必要としていることが確定しています。そして一人が言うことは、たいてい他の人も思っています。

要望に応えた分だけ、受けられる用途が増えていきました。

これが、時間はかかりましたが、確実な広げ方でした。


できることは、自分たちでやります

ミニマルに始めるというのは、買わないことだけではありません。

自分たちでやることも含まれます。

私たちは、DIYで塗装や壁紙の張り替えなどをやっています。

業者さんに頼むことばかりではありません。自分たちでできることは、自分たちでやる。

今は、調べればできます

これができるようになった理由は、はっきりしています。

最近はYouTubeなどで、いろいろと情報収集できるからです。

昔なら職人さんに頼むしかなかった作業が、調べればある程度できてしまう。この10年で、一番変わったことのひとつかもしれません。

サイトも、テンプレートで作りました

同じ話は、開業時にもありました。

第1回で書いたとおり、最初のウェブサイトはデザイナーも使わず、テンプレートで作りました。

弊社はウェブ制作もやっている会社です。作ろうと思えば、きちんと作れました。

それでも、テンプレートで出しました。

売れるかどうか分からないものに、最初からお金をかける理由がなかったからです。


そして、足すだけではありません

ここからが、今回で一番書きたいことです。

引くこともあります。

名駅フリースペースには、当初、撮影用の家具類が多くありました。

撮影スタジオだったので、当然です。当時の判断としては正しかった。

ところが、邪魔になりました

用途が多目的に広がるにつれて、状況が変わりました。

多目的に使われるということは、お客様がそれぞれの世界観を持ち込むということです。こちらの色が強いと、その邪魔になります。

そこで、できるだけ世界観を崩さないようにと考えて、今では最低限の家具類しか置いていません。

正しかった投資が、負債になりました

これが重要な点です。

撮影スタジオとして買った家具は、間違った買い物ではありませんでした。

しかし用途が変わったことで、抱えているだけのものになった。

引くという判断は、自分で決めました。古いものは捨て、使えるものは他のスペースで転用して、やりくりしました。

もっとも、これができたのは他にスペースがあったからです。1つしかなければ、全部処分することになります。


ミニマルの本当の意味

ここまで書いてきて、整理できることがあります。

ミニマルに始める理由は、2つあります。

1. 無駄遣いを避けるため

これは分かりやすい理由です。当たるか分からないものに、先にお金を使わない。

2. 身動きが取れなくなるのを避けるため

こちらのほうが、実は大きい。

たくさん抱えていると、方向を変えられません。

第1回で、このシリーズの軸として「最初から完璧を目指さず、走りながら方向を決める」と書きました。

走りながら方向を決めるには、身軽でないといけません。

設備を揃えすぎた状態で「やっぱりレッスン向けに寄せよう」と思っても、投じた分が惜しくて動けなくなります。投資が判断を縛ります。

自分で貼った壁紙なら、貼り替えるのも自分でできます。変えるコストが低ければ、変えられます。


常に、市場は動いています

私たちがこの10年でやってきたことは、結局これに尽きます。

常にお客様や市場の変化に、柔軟に対応していく。

第2回で書いたとおり、需要は動きます。コロナ禍で一度ゼロになり、戻ってきたときには中身が変わっていました。

そのたびに、足したり引いたりしてきました。

最初に完成させようとすると、変化に対応できません。


まとめ

これから始める方に、お伝えしたいことは3つです。

1. 投資は必要だが、最初から大量投入は危険

需要が見えてから、そこに向けて投じる。

2. 聞かれてから足す

先に揃えるより確実で、外しにくい。

3. できることは自分でやる

今はYouTubeで調べられます。そして自分でやったものは、自分で変えられます。

身軽であることが、この事業では強みになります。


次回

次回から、物件の話に入ります。

まずは、不動産オーナーにどう理解してもらうかです。

レンタルスペースは、オーナーから見ると「何それ」という業態です。地方都市では、又貸しと認識されて苦労します。

私たちがどう説明してきたか、そしてそれでも断られることが多いという現実について書きます。


シリーズ一覧|レンタルスペースの始め方(全13回)

あわせて読みたい|選ばれるレンタルスペースの作り方

すでに運営されている方向けの連載です。料金、写真、集客、清掃、リピーターまで全10回。


【筆者】

レンタルスペースALBE 運営会社 株式会社ファーストクリエイト 代表取締役 鬼頭創一

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