【選ばれるレンタルスペースの作り方 #8】清潔感は、目ではなく肌で判断されている

事業者の方へ

レンタルスペースを選ぶとき、お客様は何を見ているのか。

立地、広さ、料金、設備。どれも大事です。

ただ、実際に使ったあとで評価が分かれるのは、清潔感です。

そして清潔感は、写真では伝わりません。来て、触れて、はじめて分かります。だからリピートするかどうかを決めるのは、たいていここです。

私は前職がホテルマンで、客室清掃課に2年半いました。 今のレンタルスペースの清掃は、そこで教わったことをほぼそのまま持ち込んでいます。

今回は、その基準を公開します。


なぜ、営業志望で清掃課に行ったのか

先に経緯を書きます。

客室清掃課には、自ら志願して配属されました。

理由は単純です。宿泊部門の経験として、一番ベースになるところだからです。

部屋を売るのが営業の仕事ですが、その部屋がどう作られているかを知らないまま売るのは、どうなのか。そう思っていました。営業的にも非常に重要なセクションでしたし、ここを経験することが次のステップにつながると考えて、自分から手を挙げました。

2年半、大変厳しく指導していただきました。 今振り返っても、良い経験だったと思っています。

そしてこれは、レンタルスペースの運営ではさらに意味を持ちます。

私たちは、売る人と掃除する人が同じだからです。


最初に叩き込まれたのは、水回りでした

清掃課で最初に教わったのは、水回りです。

バスルーム、お手洗い、洗面台。清潔感が一番現れる場所だからです。

ここの清掃については、かなり厳しく指導されました。

「肌が触れるところ」は、特にクオリティを上げる

その中で、今も一番印象に残っている教えがあります。

手に触れる、肌が触れる。そういったところは、特に清掃のクオリティを高くするべきだ。

これを叩き込まれました。

考えてみれば当然です。清潔かどうかは、目ではなく肌で判断されています。

見た目がどれだけきれいでも、蛇口のレバーに触れた瞬間にぬめりがあれば、その部屋全体の印象が決まってしまいます。逆に、多少の生活感があっても、触れる場所が乾いてさらりとしていれば、不快には感じません。

そしてこの教えは、作業の優先順位にもなります。

時間は有限です。すべてを同じ力で磨くことはできません。どこに力を集中すべきかを教えてくれる基準として、今も使っています。


「前の利用者の痕跡を残さない」

もうひとつ、清掃課で教わった基準があります。

前の利用者の痕跡を残さない。

これが、私たちの清掃の中心にある考え方です。

髪の毛の話

分かりやすい例を挙げます。

皆さんも当たり前のようにホテルを利用されていると思いますが、バスルームに前の利用者の髪の毛がいっぱい落ちていたら、気持ち悪くないですか。

それと同じことです。

部屋そのものが古くても、設備が最新でなくても、前に誰かがいた形跡があるというだけで、印象は大きく損なわれます。

完全には、消せません

正直に書いておくと、完全に前の利用者の痕跡を消すことは難しいかもしれません。

短い時間で、複数の部屋を回ります。人間がやる作業ですから、見落としもあります。

それでも、できるだけ痕跡を消す。 これは重要なことだと思っています。

完璧を目指すのではなく、消すべきものを明確にして、そこに集中する。 これが現実的なやり方です。


「きれいにして」では、基準になりません

ここからは、現場の話です。

清掃を担当するのは、弊社のスタッフです。外注ではありません。

そして、複数人で回すときに必ず出てくる問題があります。

「きれい」の基準が、人によって違うのです。

同じ部屋を掃除しても、仕上がりが揃わない。指示した側は伝えたつもりでも、受け取る側の基準が違えば、同じにはなりません。

だから、渡す言葉を変えました

私たちがスタッフに伝えているのは、「前の利用者の痕跡を残さない」という一言です。

曖昧な基準を伝えるよりも、これを共有するほうが、清掃のクオリティは一定に保てます。

「きれいにしてください」では、判断のしようがありません。どこまでやればいいのか分からない。

しかし「痕跡を残さない」なら、何を見ればいいかが分かります。 髪の毛、指紋、飲み物の輪染み、使ったあとのゴミ。前に誰かがいたと分かるものを探せばいい。

細かいマニュアルを増やすのではなく、判断できる一言を渡す。 人が増えても品質が保てるのは、これがあるからだと思っています。


重点的に清掃している場所

具体的にどこを見ているか、書いておきます。

水回り

やはりここが最優先です。お手洗い、洗面台。清潔感が一番現れる場所という教えは、レンタルスペースでも変わりません。

給湯室やキッチン

飲食を伴う利用が多いので、ここも重点箇所です。シンク、蛇口、作業台。水回りであり、かつ肌が触れる場所でもあります。

椅子

意外に見落とされがちですが、椅子は最も長く肌が触れる場所です。座面と背もたれ。ここが汚れていると、利用中ずっと不快が続きます。

床面

そして床です。

レンタルスペースならではの落とし穴がここにあります。

特に広い部屋の場合、汚れやゴミがなかなか目立ちません。

ホテルの客室は狭いので、この問題は起きにくい。しかし数十平米ある部屋では、隅に落ちた小さなゴミは、立って見回しただけでは見えません。

目立たないから、見落とす。 だからこそ、必ずしっかり清掃するよう指導しています。


ホテル並みが必要か、と言えば

正直なことを書きます。

レンタルスペース事業の中で、果たしてここまでホテル並みの清掃クオリティが必要かというと、そこまでではないかもしれません。

宿泊するわけではありません。滞在も数時間です。論理的に考えれば、ホテルと同じ基準は過剰かもしれない。

それでも、目指すところを高く設定しています。

理由は、そうすることでお客様からグッドコメントをいただけるからです。

乗り換えてきたお客様が、教えてくれます

ときどき、こんな声をいただきます。

別のレンタルスペースを利用されていて、弊社に乗り換えられたお客様から、「レンタルスペースALBEさんのほうが清潔感がある」と言われることがあります。

これは、比較した方の言葉です。だから信用できます。

私たちが自分で「清潔です」と言うより、他を知っている人が言うことのほうが、はるかに意味があります。

特に、女性にとっては

そしてもうひとつ。

女性にとって、清潔感は非常に大きな選択肢の一つだと思っています。

レンタルスペースの利用では、女性が幹事や決裁者になる場面が多くあります。そこで清潔感が引っかかれば、候補から落ちます。

だから、これからも注力していきます。


まとめ

清掃について、私たちが持っている基準は2つだけです。

  1. 肌が触れるところは、特にクオリティを上げる
  2. 前の利用者の痕跡を残さない

どちらも、ホテルの客室清掃課で教わったことです。

そして、この2つがあれば現場で判断できます。 マニュアルを分厚くしなくても、スタッフが自分で考えて動ける。

清潔感は、写真では伝わりません。でも、来たお客様には確実に伝わります。

そして次に選ばれるかどうかは、たいていそこで決まっています。


シリーズ一覧|選ばれるレンタルスペースの作り方(全10回)

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これから始める方向けの連載です。物件選び、資金、消防法、撤退ラインまで全13回。


【筆者】

レンタルスペースALBE 運営会社 株式会社ファーストクリエイト 代表取締役 鬼頭創一

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