【選ばれるレンタルスペースの作り方 #5】Googleビジネスプロフィールは、小規模事業者が戦える場所です

事業者の方へ

第1回で、私たちはSNSを販促ツールとして使っていないと書きました。

試したものの、そこに「スペースを使いたい」と思っている人がいなかったからです。

代わりに注力してきたのが、Googleビジネスプロフィールです。

こちらは、実感のある効果が得られました。

今回は、10年かけてやってきたことを具体的に書きます。失敗も含めて書くので、これから登録する方は同じ回り道をせずに済むはずです。


レンタルスペースは、MEOと相性がいい

取り組み始めたのは、創業してから1年後くらいです。

ちょうど10年ほど前、MEOという言葉が話題になり始めた時期でした。

それを知ったとき、レンタルスペース事業はMEOと相性がいいと思いました。

理由は、ロケーションです

なぜ相性がいいのか。やはりロケーションだと思います。

利用したいと思うスペースが、自分の希望するエリアにあるかないか。 ここは非常に大きな選択肢になります。

どれだけ内装が良くても、設備が充実していても、行けない場所にあれば候補に入りません。

つまり、お客様の選び方が最初から地図と一致しているわけです。

だからこそ、地図上に正しく存在していることが、そのまま選択肢に入るための条件になります。


最初の失敗|アカウントを1つにまとめていました

ここから、私たちの失敗を書きます。

登録したての頃、「レンタルスペースALBE」のアカウント1つで全部をまとめていました。

複数のスペースを運営しているのに、プロフィールは1つ。当時は何の問題も感じていませんでした。

口コミが増えてきて、気づきました

問題が現れたのは、口コミが増えてきたときです。

お客様がGoogleの口コミに投稿してくださるのですが、それがどのスペースのことを指しているのか、総合アカウントでは分かりにくいのです。

防音室の感想なのか、フリースペースの感想なのか。書いた本人以外には判別できません。

困るのは自分たちだけではありません。検討中のお客様が、判断材料として使えないのです。せっかくの高評価が、効かなくなります。

そこで初めて、スペースごとにアカウントを作ったほうがいいと気づきました。

早く気づくほど、傷は浅い

登録の時点では、何の不都合もありません。運用して、評価が溜まってから初めて問題が現れます。

そして分けるとなれば、各スペースの口コミはゼロから積み直しです。

これから始める方には、最初からスペースごとに分けておくことを強くおすすめします。

なお、総合アカウントは今もそのまま保持しています。

会社として探される場面と、部屋として探される場面は別だからです。「レンタルスペースALBE」で調べる人には総合が、用途で調べる人には個別が当たる。併用が正解でした。


表記を、すべて統一しました

もうひとつ、効果が大きかった作業があります。

住所、電話番号、名前の表記を統一することです。

これは知り合いから教わりました。そして理由を聞いて、普通に考えて納得できる話だと思いました。

日本語には、揺れが多い

考えてみると、日本語の表記には揺れが多くあります。

「1-2-3」と「1−2−3」。「052-000-0000」と「052-000-0000」。「ビル3F」と「ビル3階」。

人間の目には同じに見えますが、機械にとっては別の文字列です。

同じ場所を指しているのに、別の情報として扱われる可能性があります。

全媒体を揃えました

それ以降、公式サイト、Googleマップ、その他インターネット上のさまざまな媒体を、すべて統一しました。

一箇所だけ直しても意味がありません。揃っていない媒体が残っていれば、そこが揺れの原因になります。


目に見えた効果が出た瞬間

この作業の効果は、はっきりと分かる形で現れました。

当時、「名古屋 ピアノ練習室」のようなクエリで検索すると、候補となるアカウントが地図とともに並びます。

そこに、弊社のスペースがきれいに並んだのです。

そして、それから急激にピアノ練習室の利用が増えました。

順位が上がったという話ではありません。売上が動きました。 これは目に見えた効果でした。

地名と用途を組み合わせて探す。レンタルスペースのお客様は、まさにこの探し方をします。そこに自社が並ぶかどうかが、そのまま結果になります。


口コミは、お願いしすぎないほうがいい

アカウントを分けたあと、私たちは特に慌てませんでした。

口コミは、徐々に増えていきました。

やっていることは、声をかけることです

口コミを増やすためにやっているのは、シンプルです。

利用してくださったお客様に、きちっと挨拶をして、ご利用に不便がなかったかどうかを声がけする。

これだけです。

「口コミを登録してください」とは、こちらからあまり積極的に言いません。

サンキューメールに、「口コミをお願いします」の一言を入れている程度です。

そして、サンキューメールを送るタイミングも意識しています。私たちは利用の直後ではなく、翌朝に送っています。直後は片付けや移動で慌ただしく、読まれないからです。


ここからが、面白い経験の話です

なぜ積極的にお願いしないのか。

続けているうちに、不思議な傾向に気づいたからです。

お願いすると、星3になります

「Googleに口コミをお願いします」と積極的にお願いした場合、なぜかお客様は星3を入れてきます。

一方で、特に何もお願いしていないお客様は、星4や星5になります。

同じ施設を、同じように使っていただいているのにです。

サービスをしても、星3でした

もうひとつ、はっきりした例があります。

急に延長を希望されたお客様に対して、口コミとの対価交換をしたことがあります。延長を無料でお受けする代わりに、投稿をお願いする形です。

そのお客様は、もちろん投稿してくださいました。

それでも、星3でした。

こちらがサービスをしたにもかかわらず、です。

何が起きているのか

私なりに考えてみました。

おそらく、お願いされたから書いているのだと思います。

頼まれごととして処理するモードに入ると、真ん中を選んでおけば無難、という発想になりやすい。書くこと自体が目的になってしまい、評価への思い入れが薄くなります。

対価交換の場合はもっと明確です。それは取引になります。延長を受けてもらった代わりに投稿した。お客様の中では、そこで完了しています。感謝を表現する場ではなくなっているわけです。

そしてもうひとつ。こちらから何かを求めた時点で、お客様は「評価者」の立場に置かれます。

採点を求められていると感じれば、人は減点を探し始めます。何も求められていなければ、良かったことを書くだけで済みます。

結論として

口コミは、数を求めると質が下がります。

星3が並ぶくらいなら、件数が少なくても星4や5のほうが効きます。見ている人は平均点を見ますし、内容の熱量も伝わります。

頼まずに書いてくださった方の言葉には、それだけの理由があります。

なお、リピーターについて書いた回で料金交渉に対してオプションを対価として提案する話を書きましたが、同じ「対価」でも口コミには使えません。 交渉ごとには機能して、評価には逆に働く。ここは分けて考えたほうがよさそうです。


地味に続けているのは、投稿です

最後に、今も続けていることを書きます。

Googleビジネスプロフィールの投稿機能です。

意外なことに、ここはあまり何もやっていない事業者が多いと感じます。登録して終わり、という状態がほとんどです。

私たちは、だいたい週に1本は上げています。

何を投稿しているか

内容は、お客様にとって有益な情報にするようにしています。

たとえば、ピアノ練習室であれば「調律しました」という投稿です。

ピアノを借りる方は、音の状態を気にします。調律したという事実は、まさに知りたい情報です。そして同時に、きちんと手入れされている施設だという証明にもなります。宣伝ではないのに、信用が伝わります。

その他のスペースについては、設備増強のお知らせなどを出しています。

新しいことを打ち出すのではなく、良くなったことを伝える。 それだけで十分に読む価値のある投稿になります。

ネタは、作らなくていい

週1本というペースが現実的なのは、ネタを作る必要がないからです。

毎日投稿しようとすると、書くことがなくなって内容が薄くなります。しかし週1本なら、実際に起きたことだけで足ります。

調律した。備品を増やした。清掃の方法を見直した。運営していれば、こうした出来事は自然に発生します。

わざわざ話題を捻り出さない。 これが続けられている理由だと思っています。


空白を、作らないこと

もうひとつ、地味に続けていることがあります。

新たに追加されるGoogleからの入力項目には積極的に登録して、空白がないように頑張って埋めています。

Googleは項目を増やし続けます。一度登録して終わりにすると、時間とともに空白が増えていきます。


大手が更新しないから、勝てます

最後に、この施策について私が思っていることを書きます。

検索において、大手チェーンが優先される傾向は当然あると思います。

しかし、実際に見ていると、大手チェーンこそ、こまめなGoogleビジネスプロフィールの更新をあまりしていません。

店舗数が多いほど本部管理になり、現場が細かく手を入れられなくなるのだと思います。新しい入力項目が増えても埋まらない。投稿も止まる。

そういった意味では、私たちのような小規模事業者は十分に戦えるツールだと、逆に思っています。

資本でも知名度でもなく、手間をかけ続けられるかどうかで差がつく領域です。

地味な作業です。派手さもありません。

それでも、「名古屋 ピアノ練習室」で自社が並んだあの瞬間を思えば、続ける価値は十分にあります。


シリーズ一覧|選ばれるレンタルスペースの作り方(全10回)

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これから始める方向けの連載です。物件選び、資金、消防法、撤退ラインまで全13回。


【筆者】

レンタルスペースALBE 運営会社 株式会社ファーストクリエイト 代表取締役 鬼頭創一

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