
このシリーズも、今回が最終回です。
最後は、実態のないスペース——いわゆる幽霊スペースの話と、口コミの読み方について書きます。
第1回で、私は「悪質な詐欺は稀ではないか」と書きました。今もそう思っています。
ただ、確かめる方法はあります。 それを具体的に書きます。
ポータルサイトに載っているかどうか
まず、一番手軽な確認方法から。
スペースマーケットさんやインスタベースさんのようなポータルサイトに、その施設が載っているかどうか。
これを見てみてください。
載っていれば、実在します
理由は、第1回でも触れたとおりです。
利用があれば、ポータルサイトから事業者にお金が振り込まれることになります。
振込先の口座が必要ですし、審査も通らなければなりません。
確実に存在する会社でない限り、ポータルサイトには存在できない。 そういう物理的な制約があります。
つまり、幽霊スペースが成立するのは、直接振り込ませる場合です。
ただし、載っていないから危ないわけではありません
ここは誤解のないように書きます。
公式サイトだけで運営している施設が、危ないわけではありません。
小規模で1施設だけ運営している。ポータルの手数料を避けたい。真っ当な理由はいくらでもあります。
私たち自身、自社サイトからのご予約を中心に運営しています。
「載っていれば確認が一つ省ける」ということです
正確に言えば、こうなります。
載っていれば、実在の確認が一つ省けます。
載っていなければ、別の方法で確かめればいい。 それだけです。
次に、その方法を書きます。
公式サイトで見るところ
公式サイトを開いたら、次のあたりを見てください。
1. 運営会社が書いてあるか
会社概要のページがあるか。 法人名、所在地、代表者名。
ここが見当たらない、あるいは携帯番号しか連絡先がない場合は、もう少し調べてみてもいいかもしれません。
2. 他にどんな施設を運営しているか
複数の施設を運営していれば、それ自体が継続して事業をしている証拠になります。
3. 情報が更新されているか
お知らせやブログが、いつまで更新されているか。
何年も止まっているサイトは、今どういう状態なのかが分かりません。
見学できるかどうか
そして、一番確実なのは実際に見ることです。
多くの施設では、事前見学を受け付けています。
見学できる施設は、実在します
当たり前のことですが、見学できる時点で、その場所は存在します。
そして、部屋の状態、清掃の具合、設備。写真では分からないことが分かります。
第3回で書いたカメラの確認も、見学なら自分の目でできます。
受け付けているかどうか自体が、判断材料です
見学に行く時間がない場合でも、見学を受け付けているかどうかは確認する価値があります。
受け付けていない理由が説明できるなら、それも構いません。無人運営で鍵の都合がある施設もあります。
ここからは、口コミの読み方です
後半は、運営している側から見た口コミの読み方を書きます。
星の数だけでは、分からないことがあります。
悪い投稿は、どこにでもあります
まず前提として、悪い投稿がある施設は、どこにでもあります。
10年運営していれば、合わなかった方は必ずいます。悪い口コミが1件あるから避ける、という読み方は現実的ではありません。
問題は、その中身と割合です。
見るべきは「注意喚起」です
注意したほうがいいのは、こういう口コミです。
「これから利用する人は気をつけてください」
利用者が、他の利用者に対して注意喚起を求めている。
これは、性質が違います。
自分の不満を述べるだけでなく、他人を守ろうとしている。 そこまでする動機があったということです。
一度の行き違いでは、普通そこまで書きません。
そして「そればかり」かどうか
もうひとつは割合です。
悪い投稿が1件あるのと、そればかりであるのとでは、意味がまったく違います。
数件並べて読んでみて、同じことが繰り返し指摘されているなら、それは偶然ではありません。
返信があるかどうか
もうひとつ、口コミの返信があるかないかもポイントになると思います。
返信は、見ているという証拠です
返信があるということは、運営者が口コミを見ているということです。
見ていれば、指摘された点に対応している可能性もあります。
逆に、放置されているなら、誰も見ていない。 何か起きたときの対応も、期待しにくいかもしれません。
返信の「中身」も見てください
そして、悪い口コミへの返信は、書き方に姿勢が出ます。
- 事実を説明しているか
- 言い訳になっていないか
- 感情的に反論していないか
ここは、実際に読めば感じ取れると思います。
口コミが少ない場合
最後に、口コミがほとんどない施設をどう見るかです。
「評価が極端に少ないスペースは避けたほうがいい」という話をよく見かけます。
ただ、少ないこと自体は問題ではありません。
新しいだけかもしれません
オープンしたばかりの施設なら、口コミが少ないのは当然です。
私たちの場合、新しくオープンしたばかりの施設であれば、「ニューオープン!」のような一言を付けます。
口コミが少ないことに、説明がつくようにしておくためです。
確かめ方
ですので、口コミが少ないときは、こう見てください。
新しいのか、それとも別の理由か。
公式サイトに開設時期が書いてあれば、照らし合わせられます。何年も運営しているはずなのに口コミがほとんどないなら、そこには理由があるかもしれません。
シリーズのまとめ
全5回で書いてきたことを整理します。
心配されている4つと、その確認方法
① 高額請求(第2回)
原因は悪意ではなく、複雑な料金体系。予約を確定する前に、支払う総額が見えているかを確認する。
② プライバシー・カメラ(第3回)
室内にカメラを置かない施設もあります。聞けば答えます。答え方を見てください。
③ 騒音トラブル(第4回)
音量より、何をするのかを正確に伝えること。 そして施設の構造で大部分が決まります。
④ 実在しないスペース(今回)
ポータル掲載、公式サイト、見学、口コミ。 確かめる方法はいくつもあります。
最後に
このシリーズの最初に、こう書きました。
危ない業者かどうかを見抜こうとしなくて大丈夫です。
調べてから決めればいい。 それだけです。
普段のネットショッピングと同じです。公式を見て、レビューを読んで、気になることは聞く。特別な用心は要りません。
そして、私たち運営する側についても、最初に書いたとおりです。
こう言われてしまう以上、より安心してご利用いただける環境を、常にバージョンアップして提供していく必要があります。
このシリーズが、場所を探している方の不安を少しでも減らせたなら、幸いです。
シリーズ一覧|レンタルスペースは危ない?(全5回)
- #1 運営者が、正直にお答えします
- #2 「高額請求」の正体は、たいてい悪意ではありません
- #3 室内にカメラは、置いていません
- #4 騒音トラブルは、音量の問題ではありません
- #5 最終回|幽霊スペースの避け方と、口コミの読み方(この記事)
運営する側の話も書いています
レンタルスペースを運営・開業される方向けの連載もあります。
【筆者】
レンタルスペースALBE 運営会社 株式会社ファーストクリエイト 代表取締役 鬼頭創一